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家元八世 川上宗順
___ゆきま今昔__
ゆきまが平成4年12月季刊となって星霜二十年今号をもって80号を迎えた。茶道界の月刊誌としての創刊は昭和28年4月、その第1巻第1号は前年の11月7日(土)、8日(日)の両日護国寺にて先代宗匠が七世を襲名された記念茶会の特集号であった。編集長は文芸評論家亀井勝一郎夫人斐子(あやこ)、当流を学び、歌人でもあった。刊行時は夫君の文壇の交友関係から武者小路實篤、丹羽文雄、井伏鱒二等々そうそうたる筆者が誌上にあった。昭和29年斐子は故勝一郎の回想録執筆のため多忙となり、当時白和会会長宮崎晃蓮の姪で編集協力をしていた吉水孝蓮が編集長を引き継いだ。以来37年間1刊の休刊もなく社中の育成と月刊誌としての茶道誌を発刊し続け、その努力に不白流功労賞が授与されたのも当然といえる。やがて高齢となり、さすがに体力の限界にともなってついにゆきまは第37巻3月号(通号431号)をもってやむなく休刊となった。
平成になり流の財団化が本格化すると共にゆきまの再刊も急務となった。そしてゆきま編集者に家元の舎弟紀平正人があたった。編集、割付等全くの素人であったが孤軍奮闘最大級の努力をはらってついに平成4年12月再刊にこぎつけた。その記念号の表紙は当代襲名に白和会会長中村柳鶴より贈られた不白好金獅子香合で特集は九州久留米岩田屋に於ける流祖川上不白展、高良大社千六百年御神期大祭の家元献茶式等々であった。編集者紀平は茶道具の白黒写真は意味がないとの持論から第2号をもって茶道誌として初めての全ページカラー版とした。経済的に反対が大であったがむしろ誌上の美しさから部数がふえた。一人で作家との交渉、美術館との打ち合わせ等々超人的な努力であった。しかし平成18年突然の逝去、またしてもゆきまは休刊の危機にさらされたが幾人かの協力者を得て存続し、近々やっと茶道誌としての体裁を整えることが出来たのは会員諸氏の叱咤激励の賜物と深く感謝を申し上げる。
今ここに昭和28年の創刊号、先代宗匠の巻頭言の一節「敬虔な茶道人で、しかも真面目に茶道の真理を探求したい。」の言を目標として今一度初心に立ちかえり、立ちかえりつつ更に一歩を進めたいと願っている。
( ゆきま巻頭言より )
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