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申年の年頭にあたり
家元八世 川上宗順
四国支部主催の全国大会茶会を前に支部創立昭和28年5月30日の先代の記録が掲載されているゆきま第1巻8月号を読んでみました。盆栽の話があり盆栽は根、幹、枝と言って、枝より幹、幹より根が見処で梅は梅らしく楓は楓らしく仕立て、その盆栽に個性が出れば一人前、点前も個性が表れるものであって、その背後に人格がにじみ出るから自らの品位を高むることが必要とあった、さすが御先代の言葉。
要は根っ子とその品位。
我々の根っ子は性根玉、「性根玉を磨け、陰徳を積め」は近代禅宗を代表する名僧山本玄峰老師の愛用句。
性根玉を磨けば根は育ち陰徳を積めば品位がにじみ出る。しかしこれが難しい。
陰徳を積む、道場の掃除、水屋の仕事も自分の範囲だけであとは知らんぷり、これではいくら点前をしても品位ある点前にならない。茶事の初めの飯器は人数分の飯、これを等分に分けて残さない、これが点前、濃茶は一碗を全員で飲み切って亭主への礼。残ったらもう一度茶碗をまわして飲み切る、流祖の言う茶は人ののみかけをのみて茶の礼とする。我々はこうした性根玉を磨ける”茶道”という場所にいる。水屋の整理整頓ーこれが点前の品位となる。茶事の食する時の姿勢、箸の持ち方これがすぐ普段に生かされ品位となる。掃除はきれいにしなければ意味がない。
一つをみがけば一つの力となる。点前は一碗を点てるためだがその一碗を点てるための性根を磨き陰徳を積む、これでこそ一碗。
本年も一つ一つ力を込めていきましょう。
( ゆきま巻頭言より )
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