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家元八世 川上宗順
動中工夫勝静中百千億倍
令和元年11月17日全国大会茶会濃茶席の床は白隠禅師の中字と称される
”動中の工夫に勝ること百千億倍”
の一行であった。
静中の工夫とは、
たとえば我々は師について茶道の修行を始める。
帛紗さばき、棗や茶杓の拭き方、茶巾のタタミ方等々色々な所作を教わり、まずは平点前の修得をめざす。
坐相が悪い、畳の歩き方が違う、茶碗の持つ手つきが悪い、等々あらゆる所作について注意を受ける。
直すことをくり返し自分なりに工夫をしてゆく。
点前も進み棚物や色々な道具の扱いも覚えてゆく。
点前の修得に応じて習事という許状の稽古も進んでゆく。
やがて一応の点検がすむと自分で得たものを人に教えること、弟子を取るという現実、動中の世界へと突入してゆかねばならない。
一人一人違う個性、年齢も違う、教えることは静中の比ではない。
一人一人に自分のワザを正確に教える、一人一人の個に従って教えてゆかねばならない。
教えることの難しさ。誰しもが壁にぶち当たる。
その時また師のもとにひき返し静中の静寂を味わいまた動中へ戻ってゆく。
茶道を学び教えることはこのくり返し、そしてそのくり返しこそが茶力の向上となってゆく。
流祖茶道訓に
”茶道は心にあってワザにあらず ワザにあって心にあらず 心術双忘一味常顕 是茶の湯の妙道也”と。
ワザと心を一にして本年もより高い茶力を養ってゆきましょう。
( ゆきま巻頭言より )
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